マネジメントが嫌い。だから、管理しないタスク管理を実現したい。

僕は、マネジメントが嫌いなプレイングマネージャーだ。だから、マネージャー失格かもしれない。でも、マネジメントは苦手ではない。むしろ得意な方だと自負してる。困ったことに、得意だけど、好きじゃない。

嫌いな理由はいくつかある。その一つに「タスク管理」が退屈に感じてしまう。タスクに期限を切って、メンバーに割り当てて、実績を踏まえてリスケして。これが「仕事のための仕事」に思えてならない。

タスク管理道と向き合うことになったきっかけ

世の中には、様々なタスク管理ツールが提供されている。でもこれらのツールを使っても、仕事のための仕事感は拭えず、好きになれなかった。気に入ったツールが見つからなかったので、何を血迷ったのか、無いなら作ろう精神で、タスク管理ツールを個人開発した。当初は軽い気持ちで開発に着手したのだが、今では開発開始から2年経ち、実際にチームで使い始めてから1年以上になる。

まさかこれだけ長い間、タスク管理と向き合うことになるとは思ってもなかった。おかげで、僕の中には「タスク管理道」と呼べるくらい思想が芽生えてしまった。それは 「管理しないタスク管理」 を実現したい。今回は、これについて語っていきたい。

前提:タスク管理は、チームの性質によって決まる

世の中のタスク管理ツールを調べると、「どんなチームにもフィットする」そんなコンセプトを感じる。

しかし、これは全くの嘘だ。チームの性質や状況が違えば、やり方も変わる。例えば「要件と期日が定まった受託型」と「作りながら柔軟に進める自社サービス」とでは、タスク管理も変わることは容易に想像できる。

なお、僕は 「自社サービスを継続的に改善するチームのプレイングマネージャー」 を専門にしている。理由は、僕自身がその経験を積んできたから。タスク管理ツールを開発して、実際に使ってチームを回してきたからこそ、たどり着けた思想だと思ってる。以下の記事に詳しく書いた。

2026-09-16プロジェクトじゃないのに、プロジェクト管理ツールを使っていたサービスを運用しながら改善し続けるチームは珍しくない。それなのに仕事の見た目がプロジェクトだから、ツールとのミスマッチに気づかない。僕自身がそうだった。yamataka.blog

プレイングマネージャーの理想

プレイングマネージャーは、タスク管理ができる時間は限られる。だから理想は、平常時はメンバーに委ねて、タスク管理から解放されたい。管理作業をしなくても、状況は可視化され、チームがコントロールできている実感を得る。それこそが、プレイングマネージャーに求められるタスク管理だと考えた。

注意が必要なのは、世の中で語られている手法やツールを、教科書どおりにきちんと運用しようとすること。これらの多くは、専属のマネージャーのために作られている。だから、実務も手掛けるプレイングマネージャーにはフィットしないことが多い。実務も手掛けるので、時間が足りなかったり、中途半端な「仕事のための仕事」になりかねない。

では、プレイングマネージャーが担う、現実的なタスク管理とは何だろう。

任せるには、タスクを「適切に」分割する

タスク管理の常套でもあるが、僕の実際の経験からして「タスクを適切に分割する」これが一番効果が大きい。分割をする目的は、メンバーにタスクを「任せる」ため。冒頭に挙げた「管理しない」とは、メンバーに任せられる仕組み化の実現になる。

なお、「任せる」と「放任」は表裏一体にもなる。例えば、1ヶ月かかる作業を一つのタスクにしてアサインする。これは「放任」だ。それを適度な粒度、具体的には3〜5日くらいのタスクに分割する。分割することで、メンバーはロードマップ的に仕事を進めることができる。

更にもう一つの目的は、問題の検知にある。もしも1ヶ月を任せたら、問題も1ヶ月積み重なった致命的な状態に膨らむが、タスクが分割されていることで、メンバー自身で早期に問題に気づくことができる。問題が検知できる仕組みがあるからこそ、過度に管理をしなくともメンバーに任せられる。

分割するには、まずマネージャーが理解する

分割するだけ?と思うかもしれない。でも「適切に」分割するのは、簡単ではない。なぜなら、マネージャー自身がタスクを「理解」しないと、適切な分割はできないからだ。

  • そのタスクを、自分がやるとしたら、どういう順序でやるだろうか。
  • 課題として出てくるのはどんなところだろうか。
  • そのために、予めやっておくべきことは何だろうか。

ここまで考え抜いて、初めて「適切に」分割できる。

ここであなたは「マネジメントの時間を減らしたいのに、コストがおもすぎる」と思ったかもしれない。その気持ちはわかる。でも曖昧なタスクを振ると、メンバーも迷いながら仕事を進める。その場合「どの程度進んだ?」「あとどれくらいで終わる?」「なぜ進んでない?」といった「経過の管理」が必要になる。プレイングマネージャーにとって、自分の実務(プレイ)中に差し込まれるマネジメントは辛い。だから「予め理解してタスクを具体化」することにリソースを割くことで、プレイとマネジメントの分業を可能にする。

でも、安心してほしい。プレイングマネージャーのあなたは、実務のスキルがあるからこそ、タスクを理解できる。「そのタスクを自分がやるとしたら」という視点でイメージすることが可能だからだ。これが専属マネージャーになると、難しいケースが多い。

管理するのは「人」ではなく「情報」

もう一つの重要なポイントが、管理の対象を「人」から「情報」にシフトする。この違いは「取りに行く」から「置いてある」への変化である。人を管理していると、マネージャーはメンバーに情報を取りに行くことになる。ヒアリングや進捗確認といった作業は、人を管理してるから、労力が大きい。

一方で、ツールの中に「情報」が置いてあれば、取りに行かなくていい。メンバーはマネージャーへ報告するのではなく、状態を反映する。マネージャーは、週次など定期的な確認で済む。僕の場合は週1の確認だけで足りていた。

ただし、情報を反映することは、メンバーの負担・労力になる。いかにメンバーが自然に情報を反映しやすいかが、ツールの価値を測る一つの要素だと言える。

情報を反映しやすく、状況を把握しやすいツールは、タスク管理がチームのハブになる。チームのメンバー全員が、同じ景色を見て、同じ物差しで意思疎通ができる。

タスク管理ツールを導入する目的は、管理の対象を「情報」にしたいから。ツールを導入したのに、変わらず「人」を管理していたら、恩恵は得られない。だからこそ、ツールには「情報を反映しやすく、状況を把握しやすい」ことが最も求められる。経過は、追いかけるものではなく、置いてあるものになる。

メンバーの資質

管理しないタスク管理には、当然ながらメンバーの資質が関わってくる。例えば、明らかなスキルのミスマッチや、問題があっても報告を怠る姿勢。こういったメンバーに委ねることは難しいし、タスク管理では解決できない領域だ。

この解決は、マネージャーの真の役割になる。チームのビルドアップ、メンバーの意識改革など、マネージャーの効果が大きい。僕は、この役割はタスク管理ほど嫌いじゃない。チームの問題解決なら、積極的に担っていきたい。

まとめ:実際にチームに導入した結果

この思想で実際にチームを管理した結果、どうなったか。マネジメントをしてる実感がかなり減った。最初は「もっとマネジメントすべき」とも思ったほど。

それでも、チームは回り続けた。週1の確認だけで、問題が大きくなる前に僕のところまで上がってきた。そこから先の判断と改善は、マネージャーの主導で対処できる。

もちろん、メンバーの資質がマッチしていた。だからこそ任せられたのもある。ただし、僕自身のタスク管理への嫌悪感がかなり減ったのも事実だ。分割して任せる。経過は人ではなく情報で追う。この2つが、実際に効いた実感がある。

マネジメントを強化するのではなく、減らすことに焦点を当てた。減らせたのは「マネジメント」じゃなく、「仕事のための仕事」の方だった。僕は、マネジメントそのものが嫌いだったわけじゃないことにも気づけた。


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